イントロダクション

特殊なプロパティとは、通常のプロパティでは直接アクセスできなかったりトゥイーンできないようなActionScriptオブジェクトをTweenerで取り扱うことを可能にするために特化されたコードのことである。比喩的に設定されたトゥイーン値をベースに特定のコード群を実行する、コードのプロクシーのようなものといえる。例えば、通常はMovieClipのカレントフレームを変更することはできない。つまり、それはトゥイーン可能なプロパティではない。しかし、Tweenerには_frameというプロパティがあるので、以下のようなコードによってカレントフレームをトゥイーンさせることができる(全ActionScriptバージョン対応):

// 20フレームに向けて徐々にスピードダウンしながらムービークリップのフレームを進める
myMovieClip.gotoAndStop(1);
Tweener.addTween(myMovieClip, {_frame:20, time:1, transition:"easeOutExpo"});

特殊なプロパティはモジュール的に使われる。これらのプロパティはデフォルトの状態では機能しないので、使用前にまずregisterSpecialProperty, registerSpecialPropertySplitter, registerSpecialPropertyModifierメソッドを使ってこれらを登録する必要がある。

これらのメソッドを使うことで誰でも特殊なプロパティを作ることが出来る。とはいえ、Tweenerには一般的なタスクを処理するための様々な特殊プロパティがあらかじめ多数搭載されている。

忘れてはならないのは、これらが任意の実装メソッドに依存しているため、こうしたクラスや特殊プロパティはあくまでオプション的に使われるということだ。カスタムクラスのgetter/setterメソッドや、ファンクションを更新するようなsuccessive callsなどを使うことで、こうした特殊なプロパティを使わなくとも、ActionScriptオブジェクトのあらゆる面のトゥイーンを作成することは可能である。しかし、手短な解決策として、特殊なプロパティは非常に重要な役割を果たすものだ。

Tweenerで利用可能な特殊プロパティのクラスは分離されているので、デフォルトでは初期化されていない。つまり、Tweenerを使用するだけではこれらの特殊プロパティはエンジンに登録されない。これらのクラスで利用可能な特殊プロパティを正しく使うためには、以下のようにまず初期化をしなければならない:

// Tweenerクラスをインポートする
import caurina.transitions.Tweener;

// 利用したい特殊プロパティ:FilterShortcutsのリストをインポートする
import caurina.transitions.properties.FilterShortcuts;
// FilterShortcutsクラスを初期化する
FilterShortcuts.init();

一度クラスを参照すれば、インポートしなくてもそのクラスを直接初期化することも可能

// Tweenerクラスをインポートする
import caurina.transitions.Tweener;
// 利用したい特殊プロパティ:FilterShortcutsを初期化する
caurina.transitions.properties.FilterShortcuts.init();

こうすることで、FilterShortcutsクラスで利用可能な全ての特殊プロパティがTweenerで使えるようになる。登録はグローバルなので、参照はどこで行われても構わない。このため、クラスの登録(や初期化)は一度するだけで構わない。

下記のリストはTweenerファイルにデフォルトで含まれている特殊なプロパティとその説明文の一覧である。それぞれのクラスで利用可能な特殊プロパティのリストは、個別のクラスのリンク先のページを参照のこと。

クラスパスと名前 解説 SWFに追加される容量(概算)
caurina.transitions.properties.ColorShortcuts 表示オブジェクトの色を操作するためのプロパティ群。個別のchannel multiplierやオフセット、色相・彩度・明度・コントラストといった特殊な色指定など。 2.2 kb
caurina.transitions.properties.CurveModifiers トゥイーン方法に変化を加えるためのもの。現在はベジェカーブのみ。 0.4 kb
caurina.transitions.properties.DisplayShortcuts Sprites, MovieClips, TextFieldといった表示オブジェクトのための特殊プロパティ。可視属性やフレーム位置、scrollRectのサイズなど。 0.8 kb
caurina.transitions.properties.FilterShortcuts Blur, Glowなどの組み込みビットマップフィルタのトゥイーンを簡単に扱うための特殊プロパティ群。 3.5 kb
caurina.transitions.properties.SoundShortcuts サウンドを取り扱うための特殊プロパティ群。 0.2 kb
caurina.transitions.properties.TextShortcuts 任意のTextFormatのプロパティやテキスト文字列そのものなどを変更するための特殊なプロパティ群。 0.9 kb

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